高血圧とは,高血圧の原因・症状・診断について

高血圧とは

高血圧症は、持続的に血圧が正常値を超えて高い状態を指し、脳卒中、心筋梗塞、 心不全、腎機能障害などの重大な合併症のリスクを高めます。

高血圧の原因・症状

高血圧の原因
・遺伝的要因 ・塩分過多の食事 ・肥満 ・ストレス ・加齢・飲酒・喫煙・動物性脂肪の取りすぎ・カリウム、カルシウム不足など
※冷え込みが厳しい冬は血圧が上昇しやすい。暖かい場所から寒い場所に移動すると、体温を維持するために血管が収縮し血圧が上昇します。温度変化が大きい場所(浴室やトイレなど)を行き来するときは、ヒートショックへの注意が必要です。
高血圧の症状
・多くは無症状 ・頭痛、肩こり、動悸、耳鳴り、めまい、吐き気、息切れ、手足のむくみなどを伴うこともあります

高血圧の診断

家庭血圧または診察室血圧の測定 ・24時間自由行動下血圧測定(ABPM)なども活用されます。
血圧は常に変動するため、1回の測定だけでは判断できません。複数の測定を行い、平均値が基準値以上であれば高血圧と診断されます。

診察室血圧での診断

・診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上
自宅血圧での診断

・自宅で測定した血圧が135/85mmHg以上
※自宅での血圧測定は、診察室での測定よりも正確な値を示すとされています。朝と晩、数日測定して平均値を確認することが推奨されています。
※早朝高血圧:朝に血圧が急上昇し135/85mmHgを超える場合に診断される

血圧
診察室で測定した血圧 140/90mmHg以上
自宅で測定した血圧 135/85mmHg以上

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高血圧の治療

高血圧の治療目的は、高血圧の維持によってもたらされる脳心血管病の発展・進展・再発の抑制とともに、それらによる死亡を減少させること、また、高血圧患者さんがより健康で高いQOLを保った日常生活ができるように支援することである。

高血圧の食事療法・運動療法・睡眠時無呼吸症候群治療

減塩(1日の目標塩分摂取量は6g未満)を中心とした食事療法(野菜をしっかり食べる、カリウム、カルシウムを取る)、運動、アルコール制限、禁煙、肥満の改善などの生活習慣の修正や、睡眠時無呼吸症候群にたいする持続陽圧呼吸などの治療を行う。
※日本人の平均塩分摂取量は1日11-12g程度です。塩分摂取を1日1g減らすことで血圧が約1mmHg程度低下するとの報告があります。

高血圧の薬物療法

利尿薬

・主な作用・特徴:余分な水分を排出し血圧を下げる 
・主な薬剤一般名:ヒドロクロロチアジド、フロセミド、アゾセミド等
(製品名:ラシックス錠・ダイアート錠等)
β遮断薬/αβ遮断薬

・主な作用・特徴:心拍出量を減らし心臓を保護する
・主な薬剤一般名:ビソプロロール、カルベジロール等
(製品名:メインテート錠・アーチスト錠等)
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

・主な作用・特徴:血管収縮物質の生成を抑制、咳の副作用あり
・主な薬剤一般名:エナラプリルマレイン酸塩、カプトプリル・テモカプリル塩酸塩
(製品名:レニベース錠・エースコール錠等)
カルシウム拮抗薬(CCB)

・主な作用・特徴:血管拡張作用、心拍数増加は少なめ
・主な薬剤一般名:アムロジピン、ニフェジピン、アゼルニジピン
(製品名:ノルバスク錠・アダラート錠・カルブロック錠)
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)

・主な作用・特徴:血管収縮を抑制、腎保護効果あり
・主な薬剤一般名:カンデサルタン、アジルサルタン、イルベサルタン等
(製品名:ブロプレス錠・アジルバ錠・アバプロ錠等)
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)

・主な作用・特徴:心不全を伴う高血圧に有用、近年注目されている 
・主な薬剤一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物製剤
(製品名:エンレスト錠)

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高血圧が引き起こす疾患

・動脈硬化症:
動脈は硬くなってしまうと、血管の柔軟さが失われ血液をうまく送り出せなくなっていきます。血圧が上がったり、負担が心臓にかかってしまうほか、血管の内側が脆くなって粥腫(じゅくしゅ;コレステロールや脂肪などと血中にあるマクロファージと言われる免疫細胞が沈着したもの)ができ、さらに血管が狭くなったり、詰まったり、また粥腫が剥がれて血液中を漂い、やがて細い血管を詰まらせるようになります。 狭くなった血管の先には、必要な酸素や栄養が全身に行き渡らなくなり、臓器や組織が正常に機能しなくなります。さらに血管が詰まるようになると、臓器や組織に血液が行き届くなり、最悪の場合は壊死(組織が死ぬこと)することもあります。

・狭心症:
心臓の冠動脈(心臓の表面を冠のように走行し、心筋に酸素と栄養を供給している動脈)の血流が不足することで、心筋が酸素不足に陥る疾患が狭心症です。 主に動脈硬化のために冠動脈の血管が狭くなり、心臓への血流が一時的に滞るために発症します。症状としては、主に運動中に強い胸の痛みが数十秒から数分ほど続き、胸の奥あたりが締め付けられるような感覚などを覚えるようになります。また、左肩に強い肩こりが生じることもあります。 一部の狭心症はそのまま放置すると、やがて冠動脈が閉塞して心筋梗塞となり、生命にもかかわる危険な状態になったりします。心臓の細胞は再生しないため狭心症の段階で、しっかりと治療しておくことが重要です。

・心筋梗塞:
冠動脈が詰まることで血流が途絶えると、心臓の筋肉に酸素が供給されなくなり、やがてその領域の筋肉が死んでしまい(壊死)、心筋梗塞が発症します。壊死した心臓の筋肉は再生しないため、早急な治療が必要です。 心筋梗塞になると、症状として、激しい胸の痛み、重い感じ、呼吸困難、冷汗、嘔吐などが現れます。胸の痛みを感じたら、速やかに当院へご受診ください。 ただし、高齢者や糖尿病患者では感覚が鈍っていることもあり胸痛を自覚しないこともあります。なんとなく元気が無い、また吐き気などが主な症状であったりすることから、見落とされる場合も少なくありません。冠動脈が詰まることで血流が途絶えると、心臓の筋肉に酸素が供給されなくなり、やがてその領域の筋肉が死んでしまい(壊死)、心筋梗塞が発症します。壊死した心臓の筋肉は再生しないため、早急な治療が必要です。

・腎硬化症:
高血圧が続くと腎臓の中の細い動脈に動脈硬化が起こり、血液の量が減ることで腎臓の血管の壁が萎縮して弾力が失われガラス様物質が詰まります。腎機能が低下する状態が腎硬化症で、まったく自覚症状のないまま進行する場合も少なくありません。高血圧を治療しないで放置していると腎臓の機能が著しく低下し、透析治療が必要になる場合もあります。

・脳出血:
脳の中の細い動脈が高い圧力を受け続けることでもろくなり、破れて出血する疾患です。脳の中に大きな血液の塊ができ、脳の組織を圧迫してダメージを与えます。50歳代以上で起こりやすく、急に発病することが多く、片側麻痺や手足のしびれ、頭痛、吐き気、嘔吐、頭痛、めまいなどの症状が特徴です。

・脳梗塞:
動脈硬化で血管が狭くなっている部分に血栓が詰まることで、血流が止まる状態が脳梗塞です。高血圧は、脳動脈の動脈硬化を促進する大きな原因となります。脳梗塞は起こった場所によって、半身不随や言語障害、また最悪の場合、心停止や呼吸停止などを起こし、死亡に至ることもあります。

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高血圧治療の日常生活での注意点

・味付けを薄くして塩分摂取量を抑える ・適度な運動と体重管理を続ける ・血圧を毎日決まった時間に測定し記録する ・アルコールやカフェインの摂取量にも注意する。

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当院での取り組み

白岩内科医院では、患者さんの日常生活の中での血圧管理をサポートするために、医師、看護師、管理栄養士がチームを組み、継続的な指導と支援を行っています。生活習慣の見直しを強制するのではなく、患者さんのペースに寄り添いながら、無理のない改善を一緒に考えていきます。

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高血圧に関連する用語集

ヒートショック:暖かい場所から寒い場所に移動すると、体温を維持するために血管が収縮し血圧が急激に上昇する。
‐ヒートショックが起こりやすい場所:冬場の入浴時、脱衣所や浴室、トイレ
‐ヒートショックの症状:失神、不整脈、呼吸困難、胸の痛み、吐き気、頭痛、ろれつが回らない、意識の低下

早朝高血圧:朝に血圧が上がる理由は、交感神経が働きだすためです。高齢者で糖尿病や脂質異常症の方は、血液がどろどろした状態なので急激に血圧が上がると、血管が詰まってしまう原因になります。
‐早朝高血圧の原因:睡眠不足だと自律神経の障害を起こしやすくなります。またストレスも血圧と関係性がありますし、過度な飲酒は睡眠の質を下げ翌朝の血圧を上昇させます。

 LDLコレステロール:いわゆる「悪玉」コレステロール。動脈硬化の原因になります。
‐LDLコレステロール正常値: 120mg/dL未満
境界値: 120~139mg/dL
高値: 140mg/dL以上

引用・参考文献

下記ホームページも併せてご参照ください。 詳しい情報や最新情報などを閲覧することができます。