心臓病・心臓リハビリテーションについて

心臓病について

心臓病は日本人死亡原因の第2位に挙げられる病気です。心臓病といっても心臓の疾患の総称でいろいろな種類があり、その種類によって検査も違えば治療法も異なります。ここでは、心臓病やその他循環器の病気についてご紹介します。

□胸や背中が痛くなったり、苦しくなる
□息切れする、息苦しくなる
□動悸がする、脈が速い・遅い、脈がとぎれる(あるいは脈が飛ぶ)
□めまいがする、意識がなくなる
□足が腫れる、むくんでいる
□歩くと足がだるくなる、痛くなる
□心電図や胸部X線検査で異常を指摘された など

動脈硬化症

動脈は硬くなってしまうと、血管の柔軟さが失われ血液をうまく送り出せなくなっていきます。すると血圧が上がったり、負担が心臓にかかってしまうほか、血管の内側が脆くなって粥腫(じゅくしゅ;コレステロールや脂肪などと血中にあるマクロファージと言われる免疫細胞が沈着したもの)ができ、さらに血管が狭くなったり、詰まったり、また粥腫が剥がれて血液中を漂い、やがて細い血管を詰まらせるようになります。 狭くなった血管の先には、必要な酸素や栄養が全身に行き渡らなくなり、臓器や組織が正常に機能しなくなります。さらに血管が詰まるようになると、臓器や組織に血液が行き届くなり、最悪の場合は壊死(組織が死ぬこと)することもあります。 また、血管が硬くなることで血管それ自体も脆くなり、破れやすくなります。 動脈硬化を抑えるには、血管が傷みやすくなる高血圧や糖尿病、脂質異常症等の治療が大切です。そのため、生活習慣の改善を速やかに行う必要があります。食事療法では、植物性脂肪を中心に摂り、肥満の解消に努めます。運動療法では、適切な運動を心がけます。

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狭心症

心臓の冠動脈(心臓の表面を冠のように走行し、心筋に酸素と栄養を供給している動脈)の血流が不足することで、心筋が酸素不足に陥る疾患が狭心症です。 主に動脈硬化のために冠動脈の血管が狭くなり、心臓への血流が一時的に滞るために発症します。症状としては、主に運動中に強い胸の痛みが数十秒から数分ほど続き、胸の奥あたりが締め付けられるような感覚などを覚えるようになります。また、左肩に強い肩こりが生じることもあります。 一部の狭心症はそのまま放置すると、やがて冠動脈が閉塞して心筋梗塞となり、生命にもかかわる危険な状態になったりします。心臓の細胞は再生しないため狭心症の段階で、しっかりと治療しておくことが重要です。

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心筋梗塞

冠動脈が詰まることで血流が途絶えると、心臓の筋肉に酸素が供給されなくなり、やがてその領域の筋肉が死んでしまい(壊死)、心筋梗塞が発症します。壊死した心臓の筋肉は再生しないため、早急な治療が必要です。 心筋梗塞になると、症状として、激しい胸の痛み、重い感じ、呼吸困難、冷汗、嘔吐などが現れます。胸の痛みを感じたら、速やかに当院へご受診ください。 ただし、高齢者や糖尿病患者では感覚が鈍っていることもあり胸痛を自覚しないこともあります。なんとなく元気が無い、また吐き気などが主な症状であったりすることから、見落とされる場合も少なくありません。

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心臓弁膜症

心臓内部は、上下左右4つの部屋に分かれており、上の部屋を(左・右)心房、下の部屋を(左・右)心室と呼びます。左右の心室から全身に血液を供給する大動脈、肺に血液を供給する肺動脈という血管がそれぞれ出ています。この心房から心室の間と心室から動脈の間にある、扉のように開閉し逆流を防止する構造物を「弁」と呼び、これらの弁に狭窄や閉鎖不全などが見られる状態が心臓弁膜症です。 心臓弁膜症は先天的に形態的異常がある場合や、加齢による変化、リウマチ熱の後遺症、動脈硬化、心筋梗塞などに伴って生じる場合があります。 心臓弁膜症が進行して弁の機能が落ちると、次第に心臓の負担が増え、息切れや倦怠感などの心不全症状が現れ、様々な支障をきたすようになり、弁を取り替える手術が必要な場合もあります。

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大動脈瘤

全身に血液を送っている大動脈はヒトの体の中で最も太い血管で、心臓から上向きに出た後、左後方へと大きく曲がり、背骨の前面に沿って下へのびていきます。心臓から横隔膜までを胸部大動脈、横隔膜から下の部分を腹部大動脈と言います。 大動脈にはいつも血圧が掛かっているので、動脈硬化などで弱くなった部分があると、瘤(こぶ)ができやすくなります。血管の壁が薄くなって大きく膨らんでくる病気が動脈瘤で、生じた場所によってそれぞれ胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤などと称されます。 大動脈瘤で怖いのは破裂です。一度破裂すると、激烈な胸痛や腰痛、大出血による意識障害などが引き起こされます。破裂した場合の致死率は、80〜90%にも上ると言われます。したがって、破裂前に治療することが先決です。破裂のしやすさは、大動脈瘤の径の大きさにより判断され、径が大きいほど破裂しやすくなります。血圧のコントロールが重要ですが、瘤が大きくなると手術が必要になります。

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不整脈

不整脈を以下の4つに分類してご紹介します。

□単発的にでる不整脈:期外収縮
□脈が速くなる不整脈:頻脈性不整脈
□脈が遅くなる不整脈:徐脈性不整脈
□死に至る不整脈:心室細動、心室頻拍、心停止


期外収縮
最も多い不整脈で、多くの場合、生命に対する危険性はありません。正常洞調律よりも短い間隔で早期に収縮する心拍で、脈が余分に打ったり、1拍抜けるように感じます。特に加療の必要がないことが多いですが、動悸などの症状がある場合や心不全などのリスクがある場合には薬物治療やカテーテルアブレーションを行います。

発作性上室性頻拍症
突然心拍数が速くなり、1分間に150〜200回以上の速い脈が規則的に続いて、突然に止まります。通常、動悸を感じますが、四肢冷感、冷汗、胸痛、眼前暗黒感、失神を伴うことがあります。 原因は心臓の心房側の刺激伝導路に異常な回路か異常な信号を発する細胞が存在するために発症します。房室結節性頻拍症、WPW症候群、心房頻拍、心房粗動などがあり、多くはカテーテルアブレーションで根治可能です。

心房細動
脈が不規則となり、通常より頻脈になることが多く、動悸と胸内苦悶を感じます。発作を繰り返したり長期に持続した場合には、心不全をきたすことがあります。心房が無秩序に痙攣する状態のため、血液の流れが滞り、血栓を形成しやすくなります。特に高齢者、高血圧、糖尿病などの方は血栓が飛んで、脳梗塞を合併することがあります。内服やカテーテルアブレーションでの治療が必要です。

心室頻拍
心臓の心室側の刺激伝導路に異常な回路か異常な信号を発する細胞が存在することによる頻拍症です。重症な心臓病に伴って起こる場合には、意識がなくなったり、致命的な心室細動に移行することがあります。カテーテルアブレーション術か植え込み型除細動器(ICD)よる治療が必要なことが多いです。

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心臓リハビリテーションについて

心臓リハビリテーションは、様々な心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、心臓手術後、大動脈解離、閉塞性動脈硬化症、慢性心不全)の患者さんの生命予後や生活の質を高めることが立証されている運動療法を中心とした生活習慣改善の総合的なプログラムです。そして、この心臓リハビリテーションを安全かつ効果的に行うために極めて重要となるのが、医師、薬剤師、看護師、理学療法士、管理栄養士などの専門家チームによるサポートです。当院では多職種によるチーム医療により患者さん個々の状態にあわせた効果的なサポートを目指しています。

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